「早寝早起き朝ごはん」。保育園や学校のおたよりで何度も目にする言葉ですが、なぜそんなに大切だと言われているのでしょうか。

仕事や家事に追われる毎日の中で、子どもを早く寝かせて、朝ごはんまできちんと用意するって正直しんどい……

そもそも早寝早起きにどういうメリットがあるのかがわからないと、頑張りがいがないなあなどと思ったりもします(私がめんどくさがりなだけ)。
そこでこの記事では、子どもの生活リズムに関する複数の研究データをもとに、「早寝」「早起き」「朝ごはん」がそれぞれ子どもの心と体にどう影響するのか、また「うちの子はなぜ早寝ができないんだろう」という素朴な疑問にも踏み込んでまとめました。
- 早寝早起き朝ごはんの役割・メリット
- 子どもが早寝をしない理由と対策
- 早寝早起き朝ごはんを習慣化する方法
- 週末の寝だめは効果があるか
「早寝早起き朝ごはん」とは?
「早寝早起き朝ごはん」は、文部科学省が中心となって2006年から進めてきた国民運動です。
2005年に食育基本法が制定されたのに続き、2006年には文科省の「子どもの生活リズム向上プロジェクト」がスタートし、「早寝早起き朝ごはん」全国協議会が設立されました。
子どもの学力・体力の低下や生活習慣の乱れが社会的な課題となったことをきっかけに、家庭・学校・地域が一体となって子どもの生活リズムを整えていこう、という取り組みとして始まっています。

保育園のおたよりでこの言葉をよく見かけるのは、国レベルでの啓発活動が今も続いているからなのですね。
早寝・早起き・朝ごはんの役割とメリット

1.早寝がもたらす効果
子どもの体は、眠っている間に成長ホルモンが分泌され、骨や筋肉の発達、日中に使った体力の回復が進みます。
また、日中に学んだことは眠っている間に脳内で整理され記憶として定着するため、睡眠時間が短くなるとこの働きが十分に行われにくくなります。
睡眠が不足すると、「機嫌が悪い」「イライラする」「落ち込みやすい」など気持ちのコントロールが難しくなるほか、日中の眠気で注意力が下がったり、感染症にかかりやすくなったり、ケガが治りにくくなったりすることも報告されています。

「最近ちょっと不機嫌だな」というときは、睡眠不足のサインかもしれません。
2.早起きがもたらす効果
朝、太陽の光を目から取り込むと体内時計がリセットされ、1日のリズムが整います。
このとき分泌される「セロトニン」は気持ちを落ち着かせ意欲や集中力を支え、夜になると今度は睡眠を促す「メラトニン」の材料として使われます。
朝しっかり光を浴びることが、その日の夜の寝つきの良さにもつながっているのです。
3.朝ごはんがもたらす効果

朝食は体内時計を整える効果もあります。
睡眠中に下がった体温と、脳のエネルギー源であるブドウ糖を補給することで、体と脳を活動モードに切り替えるのです。
脳は体重のわずか2%ほどの重さしかありませんが、消費するエネルギーは基礎代謝量全体の2割にものぼるといわれており、朝ごはんを抜くと午前中の脳はエネルギー不足の状態で活動することになってしまいます。
また朝ごはんを家族と一緒に食べている子どもは、一人で食べる子どもに比べて、栄養バランスの良い朝食をとれていたり、イライラなどの不調が少なかったりする傾向が報告されています。
「早起き」より「早寝」の方が難しい?
大規模な生活時間調査によると、起床時刻は学年が上がってもそれほど大きく変わりません。小学生・中学生・高校生とも6時30〜40分台が中心です。
一方で就寝時刻は学年が上がるにつれてどんどん遅くなっていきます。

たしかに、私自身も中高と部活の朝練があったので朝は早いけれど、寝る時間は24時を過ぎていました……。
これは子ども自身のやる気の問題だけでなく、思春期に近づくにつれて体内時計そのものが夜型化しやすくなるという生理的な要因があることもわかっています。
中高生になって急に夜更かしが増えたとしても、だらしなくなったわけではなく、成長にともなう自然な変化という側面もあるのです。
だからこそ、この夜型化が本格的に始まる前の幼児期・小学生のうちに、早寝の習慣を土台として作っておくことが勧められています。
子どもが早寝を嫌がる理由と対策


でも子どもに早く寝なさいって言っても、寝てくれないんだよなあ……
子どもが早寝をしないのはどんな理由があるのかを知っておくと、いつまでも起きている子どもにイライラせずに済むかもしれません。ここでは実際の調査結果などから、子どもが早寝をしたがらない理由を解説していきます。
「早寝をしたくない理由」の調査結果
子どもを対象にした調査で、早寝早起きをすることで「失うもの」を聞いたところ、次のようなことが挙げられました。
つまり子どもにとって早寝は、「1日のうちで唯一の自分だけの自由な時間」を差し出すことのように感じられているのですね。大人も仕事・育児が終わって一息つく時間など、ついだらだらしてしまうことあるんじゃないでしょうか。
対策として効果的なのは、夜更かしを禁止することよりも、早寝によって得られる良いこと(勉強に集中できる、朝すっきり目覚められる、体力がつく、病気にかかりにくくなるなど)を子どもと一緒に確認することだと報告されています。

集中力や体力、病気になりづらいなど、意外と子どもは知らないメリットもあります。
夜更かしが習慣化する前にぜひ、子どもと話しておきたいですね。
早寝でつまずきやすいポイント6つ
子ども向けの調査で「こういう時でも早寝できるか?」を尋ねた結果、次の6つの場面で特に「できないかも」という回答が多くなっていました。
- やりたいこと(遊び・動画など)がある時
- なんとなく目が冴えて起きていたい時
- 夕食を食べるのが遅くなった時
- 塾・習い事・お出かけなどで帰宅時間が遅くなった時
- 学校が休みの日の前日
- 学校や塾の宿題がたくさん出た時
とくに「夕食が遅くなった時」「帰宅が遅くなった時」は、小学生・中学生ともに早寝への自信が下がりやすい項目でした。夕食が遅れると、そのあとの入浴や歯みがきなどの身支度も連鎖的に後ろ倒しになり、そのまま就寝時刻も遅れてしまうためと考えられます。
逆にいえば、この2つを押さえておけば、早寝の成功率はぐっと上がるということでもあります。
「早寝早起き朝ごはん」で他の子と差がつく?

大規模な生活実態調査では、早寝早起き朝ごはんができている子どもとそうでない子どもを比較すると、次のような違いが確認されています。
一方で同じ調査では、小・中学生においては早寝早起き朝ごはんができている子とそうでない子の間で、学校の成績に明確な差は見られませんでした。
ただし高校生ではやや差が出る傾向があります。

学年が上がって差がつく前に、生活習慣を整えておきたいですね。
「早寝早起き朝ごはん」を習慣化する4つの方法

1.夕食の時間を意識する
「早寝でつまずきやすい6つの場面」でも触れたとおり、夕食が遅れると就寝時間も遅れがちです。
品数にこだわらず、「炭水化物+たんぱく質」だけを意識した時短メニューでもかまわないので、まずは夕食の時間そのものを早めることから始めてみましょう。
2.早く寝るメリットを子どもと話す
「早く寝るとどんないいことがあるか」を子どもと一緒に確認したり、子ども自身に寝る時間や身支度の段取りを決めてもらったりする関わり方をしている家庭ほど、子どもが自分から早寝をする習慣が身につきやすいという調査結果があります。
子ども自身に「自分で決めた」という感覚を持たせてあげるのがポイントです。
3.朝の光を浴びてセロトニンを増やす
起きたらまずカーテンを開け、朝食は光の入る場所でとるようにしましょう。
セロトニンの分泌を増やすためには、太陽の光を浴びることに加えて軽い運動、人と直接関わること(朝のあいさつや会話)も効果的だとされています。
4.朝ごはんのメニューは無理なく
朝はドタバタして忙しいのに家族の朝ごはんを用意しないといけないので大変ですよね。レンチンやそのまま食べられるように、以下のような食材を常備しておくとラクになります。
| 分類 | 具体例 |
|---|---|
| 主食 | ごはん(1食分ずつラップで冷凍)、食パン、うどん |
| 主菜 | 卵、豆腐、納豆、ツナ缶、ウィンナーやハム、ちくわ・かまぼこ |
| 副菜 | キャベツ、ほうれん草、きのこ、もやし、きゅうり、レタス |
| 果物 | バナナ、みかんなど皮をむきやすいもの |
| 乳製品 | 牛乳、チーズ、ヨーグルト |
前の晩に下ごしらえをしておき、朝は温める・盛り付けるだけにしておくのもおすすめです。
菓子パンだけになりがちな朝も、まずは食べる習慣がついているならOKです。
週末の「寝だめ」はOK?
家庭で生活習慣チェックに取り組んだ調査では、「週末は家族とのコミュニケーションを優先して、多少早寝ができないこともあるが、それも大切にしている」という声が保護者から寄せられています。
平日にできる範囲で整えつつ、週末の家族時間とのバランスは、それぞれのご家庭なりの形でよいのです。
ただし、平日の睡眠不足を、週末にたっぷり寝て取り戻すということはできません。
文部科学省の調査では、学校がある日とない日で起床時刻が2時間以上ずれる子どもほど、平日の午前中に強い眠気を感じやすいことがわかっています。
休日の「寝だめ」は睡眠不足の解消にはつながらず、むしろ平日の生活リズムそのものを崩すきっかけになってしまうのです。休日も、いつもより1時間程度の範囲にとどめるのが安心ですね。
よくある質問
- Q子どもは何時に寝かせるのが理想ですか?
- A
海外の睡眠研究機関の推奨では、6〜13歳でおよそ9〜11時間、14〜17歳でおよそ8〜10時間の睡眠時間とされています。
起床時刻から逆算して、家庭の生活リズムに合う就寝時刻を見つけていくとよいでしょう。
- Q共働きだと、どうしても難しいのでは?
- A
フルタイムで働く母親を持つ子どもの方が早寝早起き朝ごはんができている割合が高いという調査結果もあります。
就業形態より、住んでいる地域の環境(習い事やメディアの選択肢の多さ)の方が影響が大きいこともわかっています。できない日があっても大丈夫なので、無理のない範囲で整えていきましょう。
まとめ
早寝早起き朝ごはんは高校生以降の成績向上やメンタルの安定など、様々なメリットがあります。
子どもからすると自由時間が少なくなるのでなかなか寝たがりませんが、親子でメリットについて話をしたりして生活リズムを作っていくことが大切です。
今日ご紹介した内容の中から、ひとつだけでも「これならできそう」と思えるものを見つけて、明日から少しずつ試してみてくださいね。


コメント