家事の合間、下の子の対応、少しだけ一人になりたい時間。
気づけば今日もテレビをつけっぱなし……。そんな自分に、夜になってふと後ろめたさがこみ上げてくること、ありませんか。

少なくとも私は、そんなことを毎日のように悩んでいました。
「脳の発達に良くないんじゃないか」「このまま大きくなって何か困るんじゃないか」。検索すると、そんな不安をあおる言葉がたくさん出てきます。
かと思えば「気にしすぎ、大丈夫」という声も。
結局どっちなんだよ!みんな無責任だなあ!なんて思ったりもしますよね……。
今回は、結局テレビの見せすぎはどうなの?だめなの?ってところを、実際の研究論文を参考にしながら解説していきます。
- テレビの見せすぎが「脳に影響する」は本当か
- テレビの視聴時間と生活習慣の相関関係
- テレビ・ゲームと依存との関係
- 依存かどうかのチェックポイント
- テレビの見過ぎを防ぐためにできること
テレビを見せすぎると「脳に影響」「将来後悔する」って本当?

「テレビの見せすぎで脳が壊れる」「三つ子の魂ではないが、幼少期の影響は一生もの」
こういった強い言葉、育児メディアや小児科医のコラムでよく見かけます。
ある小児科医の講演録を読むと、「テレビ画面はコミュニケーションが一方向」「幼い脳は現実と非現実の境界があいまいなまま育つ危険がある」といった主張が語られていました。
出典
日本健康行動科学会「テレビ画面の幻想と弊害」:田澤雄作氏
長年臨床の現場で子どもを診てきた医師の実感ですので、傾聴に値する警鐘ではあります。
ただし、これは統計的に検証された研究ではなく、臨床経験に基づく個人の意見です。考え方や特定の経験によるバイアスもかかっています。テレビの見せすぎで「脳がこう変化する」という断定をするものではありません。
一方で、実際にアンケート調査やデータ分析を行った研究もあります。
次の章で見ていきましょう。
テレビの見せすぎでこう差が付く!生活習慣との関連について

岡山県内の保育園・幼稚園に通う3〜5歳の子を持つ保護者459人に、2004年に行われた調査があります。テレビの視聴時間で子どもをグループ分けして、生活リズムにどんな差が出るかを比べたものです。
調査では、1日のテレビ視聴時間別に以下4つのグループを比較しています。
- 1時間未満
- 1〜2時間
- 2〜3時間
- 3時間以上
すると、視聴時間の長さと生活習慣の間にはっきりとした関連があるとわかりました。
テレビ視聴時間の長さと生活習慣
テレビの視聴時間「1時間未満のグループ」と「3時間以上のグループ」で比較すると、以下の結果になりました。
| 項目 | 1時間未満 | 3時間以上 |
|---|---|---|
| 朝いつも排便する子 | 29.8% | 18.4% |
| 大便後にいつも手を洗う子 | 79.0% | 51.3% |
| 就寝時刻が「だいたい決まっている」子 | 47.4% | 12.8% |
| 午後10時以降に寝る子 | 12.5% | 38.2% |
| 朝食を主食・副食ともにきちんと食べる子 | 42.1% | 12.8% |
| ジュースなどをいつも飲む子 | 5.3% | 51.3% |
| 登園の準備を自分でする子 | 47.4% | 18.0% |
| 食事中にいつもテレビを見ている子 | 8.8% | 82.1% |
睡眠時間にも差が出ていて、視聴時間が短いグループの平均睡眠時間が10時間4分だったのに対し、3時間以上見るグループでは9時間25分。約40分の差がありました。
ただし、この調査は「テレビが原因で生活が乱れた」という因果関係を証明したものではありません。研究者自身も「テレビ視聴時間の長い子の背景にある要因(家庭の状況など)までは分析できていない」と述べています。もともと生活リズムが作りにくい家庭で、結果的にテレビ視聴時間も長くなっている、という可能性も十分にあります。

とはいえ、「視聴時間が長い家庭ほど、就寝時刻や食事、身の回りの自立といった基本的な生活習慣が崩れやすい傾向にある」点は一貫して出ています。
見るにしてもほどほどに、ということでしょうか。
テレビ・ゲームと依存について

もうひとつ、別の角度からの研究を紹介します。
埼玉県内の小・中・高校あわせて31校、約2900人を対象にした調査(2006年)です。
テレビゲームやネットの使い方と、気分の落ち込みや友達関係といった「心の状態」を幅広く聞いて分析しています。
この調査では、以下のような結果が出ました。
ゲームの利用時間と依存の関連
ゲームの利用時間そのものは、他の要因を考慮すると、メンタルヘルスや友人関係との関連が見られませんでした。関連が強く出たのは「依存傾向」です。
たとえば「思っていたよりずっと長く続けてしまう」「やめさせられるとひどく腹が立つ」「家族と過ごすよりも楽しいと感じる」といった、見方・向き合い方の部分でした。
テレビと依存の関連
話は変わりますが、関東のある村(人口約3万5千人)が村ぐるみで「毎週土曜日はテレビを見ない日(ノーテレビ)」を始めたことがあります。

その効果を確かめるために、村内の小中学生2499人の生活と、テレビへの依存度との関係を調査しました。
この「ノーテレビ」の取り組みの検証でも、似た傾向が見えます。
具体的には、テレビへの依存度が高い子ほど、困っている人を見てもすぐに助けたいと思う気持ちが弱いという相関がありました。
一方で、「テレビをよく見る子は友達と外で遊ぶ時間が少ない」というような、よく言われがちな傾向については、この調査データでは見られませんでした。
依存を防ぎ適度に楽しむためにも、見たい番組はあらかじめ決めておき、「この番組見終わったら消そうね。」など声かけをしてメリハリをつけると良いでしょう。
テレビ・ゲーム依存のセルフチェック

「うちは大丈夫かな」と気になった方は、次の2つのポイントで振り返ってみましょう。
いくつも重なっているようなら見直しどきのサインだと捉えてください。
▼生活リズムのサイン
▼依存的なサイン
テレビの見せすぎで後悔しないためにできること
もちろん、完全にテレビをやめる必要はありません。
以下のような小さな工夫が生活リズム全体の改善につながるので、少しづつ取り入れてみましょう。

いきなり全部は無理でも、三歩進んで二歩下がるでもいいんです。
だって大変だもん育児()!
やってられないことは誰だってありますよね。
親に余力がある時、できる日に少しづつやっていきましょう!
まとめ
「テレビの見せすぎで脳がダメになる」という話は、まだ科学的に実証されたものではありません。
一方で、脳への影響というより「生活リズムが崩れやすくなる」という傾向は実際に確認できました。また、依存についても注意が必要です。
生活リズムは心身を強くするのにも影響がありますし、就学後は勉強リズムの基礎にもなるといいますよね。なのでやはり、テレビはいくら見せてもOK!……とはいかないようです。
まずは出来る範囲で少しづつ、テレビ・ゲームから距離をとる時間を設けることから始めましょう。


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